国連のSDGsの中心価値とは?ー人権の位置付けー

1. はじめに

 国連のSDGsとは、2015年に国連の「持続可能なデベロップメント・サミット」で採択された「持続可能なデベロップメント目標」である。

 日本でもSDGsというタームの認知度は高い。しかし、日本ではSDGsは主に「環境問題」として理解、受容、展開されている可能性もある。

 他方、1993年、国連は世界人権会議で人権の普遍性を確認し、人権政策を展開している。

 国連のSDGsの中心価値とは?

2. 経緯

 1961年、国連は「第一次デベロップメント計画」を採択した。しかし、その「デベロップメント」とは「経済成長」を意味した。

 1968年、国連は国際人権会議で「テヘラン宣言」を採択した。同宣言では、「デベロップメント」は人間の「基本的ニーズ」(の充足)の増進とされ、人権との関連で理解された。

 1970年代、発展途上国は「新しい人権」として「デベロップメントへの権利」を主張した。

 1972年、国連の人権委員会委員長等を歴任したセネガルのケバ・ムバイエは、フランスでの講演「人権としてのデベロップメントの権利」で、「人権の享受なしに、デベロップメントはありえない」と主張した。

 1986年、国連は「デベロップメントへの権利宣言」を採択した。 

 1989年、米ソ冷戦終結。

 1991年、ソ連崩壊。

 1992年、国連は「環境デベロップメント会議(リオ・サミット)」を開催し、「アジェンダ21」や「生物多様性条約」を採択した。「アジェンダ21」とは、「人間が環境に影響を与える全ての分野で、国連システム、政府、および主要グループの組織によって、世界、国、および地域的に取るべき包括的な行動計画」である。

 1993年、国連は世界人権会議で「ウィーン宣言及び行動計画」を採択し、人権の普遍性を確認し、1995年から「人権教育のための国連の10年」をスタートした。

 1997年、コフィー・アナン国連事務総長は、「人権の主流化」を促進した。

 同年、国連の人権委員会は、「デベロップメントへの権利に関する宣言」を①世界人権宣言と②「ウィーン宣言及び行動計画」を結びつける文書であると決議した。

3. 国連のSDGsの採択(2015年)

 リオ・サミット20周年の2012年、国連はリオで「持続可能なデベロップメントの会議」を開催した。2015年、国連は「持続可能なデベロップメント・サミット」で17の「持続可能なデベロップメント目標(SDGs)」を中核とした「持続可能なデベロップメントの為の2030アジェンダ」を採択した。

 同アジェンダは、貧困の恐怖及び欠乏の専制から人類を解放し、「誰一人取り残さない」ことを次のように重視した。

 すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402_2.pdf

 また、同アジェンダは、「人権、人の尊厳、法の支配、正義」を重視した。

 8.(目指すべき世界像)我々は、人権、人の尊厳、法の支配、正義、平等及び差別のないことに対して普遍的な尊重がなされる世界を思い描く。人種、民族及び文化的多様性に対して尊重がなされる世界。人間の潜在力を完全に実現し、繁栄を共有することに資することができる平等な機会が与えられる世界。子供たちに投資し、すべての子供が暴力及び搾取から解放される世界。すべての女性と女児が完全なジェンダー平等を享受し、そのエンパワーメントを阻む法的、社会的、経済的な障害が取り除かれる世界。そして、最も脆弱な人々のニーズが満たされる、公正で、衡平で、寛容で、開かれており、社会的に包摂的な世界。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/pdf/000101402_2.pdf

4. おわりに

 国連のSDGsの中心価値は、人権である。

 しかし、日本でSDGsが「環境問題」として理解、受容、展開されていることを客観的に証明することとその原因を検討することは、今後の課題とする。

<主な参考文献>

 勝間靖「開発における人権の主流化―国連開発援助枠組の形成を中心として―」、『研究報告』(IPSHU研究報告シリーズ)第31号、広島大学平和科学研究センター、2003年2月。

 芹田健太郎+薬師寺公夫+坂本茂樹『ブリッジブック 国際人権法[第2版]』信山社、2017年。

 藤田早苗『武器としての国際人権―日本の貧困・報道・差別―』集英社新書、2022年。

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