「万人のための教育に関する世界宣言」の教育機会の分配基準とは?ー「基本的な学習ニーズの充足」ー

1. はじめに

 

 1948年、国連は世界人権宣言を採択した。しかし、当時は米ソ冷戦期で人権の評価も分裂していた。

 1989年、米ソ冷戦が終結、1991年、ソ連が崩壊し、1993年、国連は世界人権会議で人権の普遍性等を確認した。

 冷戦終結後の1990年3月9日、万人のための教育に関する世界会議で、「万人のための教育に関する世界宣言」が採択された。

 同宣言の教育機会の分配基準とは何か。

2. 「万人のための教育に関する世界宣言」第1条の1の紹介

 第1条(基本的な学習ニーズの充足) 1 すべての人――子ども、青少年および成人――は、その基本的な学習ニーズの充足を目的とした教育機会から利益を得ることができなければならない。このようなニーズは、人間が生存し、その能力を全面的に発達させ、尊厳をもって暮らしかつ働き、発展に全面的に参加し、その生活の質を向上させ、十分な情報を得たうえで決定を行い、かつ学習を継続することができるために必要とされる必須の学習手段(識字、口頭表現、計算および問題解決の能力など)および基本的な学習内容(知識、スキル、価値観および態度など)から構成される(「万人のための教育に関する世界宣言 : 基本的な学習ニーズの充足〔抄〕」、『解説教育六法 2007 平成19年度版』三省堂、2007年)。

3.おわりに

 同宣言第1条では、「その基本的な学習ニーズの充足を目的とした教育機会から利益を得ることができなければならない」とされ、教育機会の分配基準は、「能力」でもなく「基本的な学習ニーズの充足」とされた。

 「戦後教育学のリーダー」とされた堀尾輝久は、教育機会の分配基準を「発達の必要」とした。そうするとそれは「万人のための教育に関する世界宣言」の「基本的な学習ニーズの充足」と比較出来ることが確認出来る。

 しかし、両者の異同や同宣言と1990年以降の日本の教育現実との比較は、今後の検討課題である。

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