1.はじめに
1948年、国連は世界人権宣言を採択した。しかし、それは法的拘束力がある「条約」ではなく「宣言」だった。
2000年、アメリカのリベラル派政治哲学者のエイミー・ガットマン・プリンストン大学・ヒューマン・ヴァリューズ・センター初代所長は、(国際)人権の価値低落を指摘し、同宣言第1条への回帰を提案した。
1.はじめに
1993年、国連は世界人権会議で人権の普遍性を(再)確認し、人権政策を展開した。
他方、(国際)人権...
では同宣言には法的性質はあるのか? 世界人権宣言を研究している国際人権法学者の滝澤美佐子はどう説明しているのか?
2.国際慣習法説
従来からの説明は、世界人権宣言に含まれる規定の多くが、数々の人権条約に取り込まれたり、国際慣習法として成熟し、その限りで国際法としての法的性質を有するというものである。
滝澤美佐子「世界人権宣言の法的性質に関する新しい視点」、『国際人権』第10号、国際人権法学会、1999年、p.23。
3.国連憲章の権威的解釈説
これに対して、世界人権宣言それ自体に法的性質を認める説もある。たとえば、国連憲章の権威的解釈説は、世界人権宣言が反対なしに採択されすでに一般的に受け入れられているとみて、宣言そのものを国連憲章と同等の地位としてとらえ、法的拘束力を認める。
同上書、同頁。
4.滝澤美佐子説
世界人権宣言の法的性質は、条約もしくは慣習法といった国際法上の法的性質の獲得の問題と国連固有の法としての法的性質の問題の両面を包括的にとらえなければ、完全に説明することは出来ない。
同上書、p.26。
5.おわりに
いずれの説も世界人権宣言の法的性質を認めている。