1.はじめに
米ソ冷戦後の1993年、国連は世界人権会議で人権の普遍性を確認し、人権教育を国家の義務とし、その後、人権教育政策を展開した。日本政府もそれに応答した。外務省もコミットした。
2024年、国連は「未来サミット」でも同様の立場を堅持した。
他方、日本の学問界では人権研究は専門分化している。同じ人権を研究対象にする法学界でも、憲法と国際人権法は十分に統合されていない。
「人権の総合知」の可能性とは? 国際人権法学会の場合とは?
2.国際人権法学会の設立の趣意
米ソ冷戦終結の前年の1988年、国際人権法学会は設立された。設立の趣意書には次のようにある。
国際人権保障の国内的実施の段階を迎えると、憲法その他の国内法研究者や法律実務家などの参加なくしては、多くの実りを期待できない。のみならず、一国における人権保障は、人々が世界の人権状況に絶えず目を配っていることによって担保され、世界の人権問題への関心と関与は、不可欠である。そのため、各種の情報を求めこれを伝え、普及活動を行うことも、これまで以上に必要とされている。また、世界の人権秩序の形成も、真に学際的研究によってこそ、その基盤が整えられる。
国際人権保障やその国内的実施さらに人権外交の諸問題は、これまで、国際法学会、公法学会、国際政治学会など関連学会等でそれぞれに研究報告としても取り上げられ論じられてきた。しかし、もはや個別学会や単発的な研究会・シンポジウム等では十分ではなく、今こそ、より系統的より学際的に、内外の連結を密にして、情報や知識や研究や持てる力を交換し、研究者も実務家も共に、一つのものを築き上げるべきときであると信じる。
https://ihrla.org/establish.shtml
3.おわりに
国際人権法学会は「真の学際的研究」を目指して設立された。同学会は、「より系統的より学際的に、内外の連結を密にして、情報や知識や研究や持てる力を交換し、研究者も実務家も共に、一つのものを築き上げる」ことを目指した。
現在(2026年)、同学会設立から40年近く経過する。設立の趣意を踏まえれば、同学会には「人権の総合知」の可能性がある。しかし、設立の趣意がどれ程実現しているかは不明である。内実を確認する必要がある。