国際人権に対する国家の義務ー人権の尊重・保護・充足ー

1.はじめに

 国際人権に対する国家の義務とは? 日本国家の場合とは?

2.国家の人権の尊重・保護・充足の義務

(1)国連の国際人権条約の個人通報手続の具備

 人権の主体たる個人が、自ら権利が侵害されたと主張して条約機関に申立を行う個人通報手続(individual communicayions/complaints procedure)は、人権条約の実効性を担保するには格段に効果的な仕組みである。(中略)今日の国際人権条約では、人権の実現における国家の義務は尊重・保護・充足と多面的にとらえられ、義務違反を観念とうる側面も複数あることが広く認められている(申惠丰『国際人権法ー国際基準のダイナミズムと国内法との協調ー〔第2版〕』信山社、2026年、p.166以下を参照)。(中略)2011年には子どもの権利条約にも、個人通報手続に関する選択議定書(2011年)が採択された。国家の制度受諾というハードルがあるとはいえ、制度的には、準司法的(qusai-judicial)手続である個人通報手続が、9つの国連人権条約すべてに具備されたことになる。

申惠丰「国際人権条約における国連通報手続の一般化」、『新国際人権講座』第4巻(国際的メカニズム)、信山社、2024年、pp.174~175。

(2)日本政府の個人通報手続の未受諾

 総じて、欧州や南米諸国、オセアニア諸国、カナダなどが積極的である一方、日本を含むアジア諸国、そして米国、次いでアフリカ諸国が消極的であることが見て取れる。(中略)日本のように手続の受け入れ自体を国が拒み続けている状況はそれ(手続周知程度、言語問題、協力する法律家の存在等――引用者による注)以前の問題であり、人権条約を真の意味で――つまり、人権主体たる個人の観点からも――実施しようという政治的意志の欠如を示すものである。(中略)個人通報手続が導入されれば、国内救済を尽くした個人が人権条約機関に通報する道が開かれるが、そうなれば裁判所も人権条約の適用に正面から取り組まざるを得ず、最高裁も、国際的な議論に耐えうる人権判断を迫られる。制度的には、条約違反が上告理由となっていない現行の訴訟法も改めなければならない。

同上書、2024年、pp193~194。

3.おわりに

 現在、国連では人権の尊重・保護・促進は国家の義務である。

 しかし、日本では制度的にそれは不十分である。

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